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スタッフコラム

シリーズ累計販売数2万個突破!日本一個性的な入浴剤 誕生秘話

2014年3月手探り状態でスタートした最も個性的な入浴剤アートボム。

累計販売数2万個を突破したアートボムをはじめとしたネハントウキョウのバスボムシリーズ誕生秘話と、これからをネハンの馬居代表に聞いた。

左からアイコンベアマスターピース、アイコンベア、ねむるマスターピース、ねむる

ーーこの度2万個を突破したアートボムをはじめとしたバスボムシリーズですが、馬居さんにとっても全く初めてのBtoC商品だったと伺っています。どういった経緯で生まれたのですか?

馬居化成は硫酸マグネシウム(エプソムソルト)のトップメーカーで、基本的にBtoBで企業さん向けに何トンとかの大きな単位で販売している会社なんです。

あるとき美容感度の高い女性からボディケア入浴剤として使うので小口販売できないか?とのお問い合わせが何件かありました。その時期の弊社はそれまでの一つのビジネスモデルであった下請けのビジネスが、グローバル化の影響もあって続けて終焉を迎えたこともあり、新しい何かを探していた時期で、一つの挑戦として得意とするエプソムソルトを生かしたBtoC事業を進めることにしました。

ーー初めてのBtoC、製品はすごく個性的ですよね。どういう意図を持って商品設計されたのですか?

素材としてのエプソムソルトには絶対の自信があったのですが、初めての消費者向け商品、物が売れないと言われるこれからの時代、消費者が求めているのはマスプロダクツじゃないのでは?と考えていたこともあり、マスプロダクツに無いもので勝負しようとの切り口でスタートしました。

立ち上げ時にはバルミューダ、スノーピークなど特徴を持った中小企業の事例、有名なところではスティーブジョブズの考え方などいろいろブランディングについて勉強しました。その中で、世界的現代アーティストの村上隆さんのカイカイキキでは50人程度の大勢のスタッフによって一つの作品を製作していることを知りました。

これはまさに馬居化成がメーカーとしてやっていることと同じだなあと。つまりアートをプロダクツの手法で作っている。調べてみるとアンディウォーホールがこんな手法の制作を始めたそうです。

であれば、我々はプロダクツの方からアートに寄せていくアプローチは面白いんじゃ無いかと。後にテーマに掲げた「プロダクツとアートの融合」です。

ーー「プロダクツとアートの融合」なんだか壮大な感じがしますね

そうですね。笑)ただ実際にやり出したことはそんな難しいことじゃなくて、、

マスプロダクツの機械で画一的に量産するのではなく、アート制作のようにハンドメイドで、万人ウケしないかもしれないけど個性的でどんどん進化して行って、コレクションしたくなるような想いや世界観を込めた製品を生み出すことを目指しました。

ーーデザインなどはどうされたのですか?

そもそも「万人ウケを狙わない=多く売れない」、「デザインがどんどん変わっていく」というビジネスとしては矛盾したような実験的取り組みなので、私自身がラフを描き、マスターピースの粘土成型も行いました。

一か八かのデザインにガンガンデザインコストをかけられないし、そもそも確信を持てるデザイナーを知らないという背景もありましたし。
私がデザイナーなら最悪、失敗だとしても腹は切れる!笑

アイコンベアとねむるのマスターピース

ーーデザインの意図は?

日本のカワイイ文化、マンガ表現などの流れを汲んだポップアートですね。

ーー市場に出して反応はどうでしたか?

実験的取り組みでしたのでまずは立ち上げリスクの低いECサイトからスタートしました。最初は全くダメでしたね。大海に投げた米粒のようなもの。ぽつぽつ動く程度で。全く認知度が足りないし広がらない、、、。

想定外だったのは新聞記事をきっかけに全国展開されている小売店さまや地元の仲間のアパレル小売店から扱いたいとの申し出があったことです。実験的に卸売も経験する中で直営店NEHAN TOKYOの構想に繋がっていきました。

ーーどの辺りから確信を持てましたか?

モデル的には「ティアーズアイ」でカワイイとちょっと反応があって、その次が「ねむる」。これは更に実験的なモデルだったので評価されたのが嬉しかったですね。ラフデザインではボブヘアの女の子モチーフだったんですが、粘土型作っている過程で目を瞑る少女に、名前も「ねむる」になりました。

NEHAN立ち上げた後でしたか発表した普遍的なモチーフの「アイコンベア」は予想通りヒットしてくれました。

余談ですが、私のデザイン成型したバスソルトはカワイイけどちょっと悲しそうな表情に見えるそうです。笑)

そして次のヒット「エプリエンス」や「ハローキティ・バスソルト」に繋がって行きます。

ーーエプリエンスはそれまでのカワイイ寄りのデザインとは一線を画しますよね。どのように生まれたのですか?

エプリエンスはNEHAN TOKYOを立ち上げることが決まった当時、NEHANのブランディングを意識して商品設計しました。NEHAN立ち上げに携わってくれたメンバーの「カメオ型の入浴剤ってできませんかねえ?」というつぶやきからのデザイン着想です。最近よく言われる「インスタ映えするフォトジェニックな」デザインを意識しました。

ただラフでおこしたエプリエンスのデザイン案を実現するには今までのマスターピース制作手法はダメだなと。ここで初めて3Dプリンターによるマスターピース造形にチャレンジしました。

ーー3Dプリンティングですか!一気にハイテクになるのですね

粘土型は直線的で均等なデザインに弱いんです。どうしても手作業なので良くも悪くも味が出てしまう。

幸い徳島県には工業技術センターと言う公的機関があり、そこにあった3Dプリンターを使わせて頂きました。
この環境がなければ実現しなかった製品ですね。

もちろんプリンティングされたピースは積層ができるのでパテで埋めてサンドで削ってを繰り返す一番大変な作業はやはり残りましたけどね。

エプリエンスの3Dプリンティングによるマスターピース。
積層があり修正が必要。未発売のもの。

ーーデザイン面はそのような秘話があったのですね。製品開発でご苦労されたことはありましたか?

製品の組成、処方開発は松本という技術担当者が行ったので詳しくは彼に聞かねばならないところですが、処方は何十通りもの組み合わせを試作して現在の処方にたどり着きました。

私は試作品の評価担当でしたので何十回と入浴テストしましたね。

初期はうまく分散しないとかバスタブに色着いたとかトライアンドエラー繰り返して完成品にしていきました。

ーー生産面ではいかがですか?

これも生産担当の代弁ですが、とにかく複雑な形状のバスボムですので、単純に型に詰めればできるという事ではなくて、カケとか発生するんですね。
繊細な指使いと力も必要です。生産担当の彼は今はもう職人レベルと言えますね。その彼でも「ねむる」「エプリエンス」などは一日40個程度しかできません。

ーー最後にこれからの展開をお聞かせください

そうですね。アートボムはこれからも世の中にない面白い存在(製品)でありたいと思いますね。マスマーケットはあまり意識せず。

エプリエンスの新作もそろそろリリースしたいなあと思ってます。
ワクワクするようなテーマがあればキティちゃんのバスソルトでやったようなブランドさんとかアーティストさんとのコラボレーションにもまた挑戦したいですね。

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