インタビュー
3人の女性クリエイターが創った大人の絵本「青く、甘く」が生まれたきっかけ
郡司茉莉さん(物語)村田祥子さん(挿絵)樋口絢子さん(写真)3人の作家さんによる共作の絵本「青く、甘く」。
大人の絵本とも言える異色の作品の誕生や作品に込めた想いについてお話頂きました。
■「青く、甘く」はどんなきっかけで生まれたんですか?
茉莉さん:
学生時代、先生のススメもあり、小説や詩を書いていて、卒業してからは趣味で絵本を作っていました。
当時、なんとなくもやもやっとしたストーリーが生まれてしまい、その時に祥子さんに「今どんな絵本書いてるの?」と聞かれて、
青く、甘くの内容を話したら、「いいんじゃない?私、絵を描いてみたい」と言ってもらったところから始まりました。
■子供向けの絵本というより、大人向けの絵本ですよね?
茉莉さん:
そうですね、絵本っていうより詩集?イメージの本?
外国に行った時に、映画ゴッドファーザーのかっこいいセリフだけを抜粋して載せたお洒落な本があったんです。
その本がすごく好きで、こういう本があってもいいんだなと、それに憧れて作りました。
■次に挿絵についてお伺いします。
タイトルが「青く、甘く」のイメージカラー「青」を中心とした寒色で構成されていますね。
ただ、ところどころピンクの色合いも入ってきておもしろいなと思いました。
祥子さん:
茉莉さんから青、ピンクのリクエストがあったのでその2色の色合いで描きました。
■表紙も含め猫がいろんなシーンに登場しますね。猫は何かのメタファーですか?
祥子さん:
元々人物を描くのが苦手ということもありますが、この物語を、リアルな恋人たちを比喩的な表現で綴ったものか、はたまた、言葉そのままの解釈で、ファンタジーと捉えるか、読者によって、受取り方は様々だと思います。
そういった曖昧な部分を、人物を描いてしまう事で、登場人物のイメージを固定したり、現実感が出てしまうのを避けたかったからです。
かといって、まるで生き物がいないのも、無機質になり過ぎてこの物語には合わないと思ったので、どこか神秘的な要素のある猫を選びました。
あとは、読者を話の中に導くような役割も持たせたかったからです。
■写真についてお伺いします。写真についても撮影時、茉莉さんからリクエストなどあったんですか?
絢子さん:
リクエストはなくて、私だったらこの文章からどんな景色を想像するかな、と考えながら撮りました。
物語の途中に写真が入ることで、読み手を現実に戻すことはしたくなかったので、絵本に載せる写真は、慎重に選びました。
■雨上がりの蜘蛛の巣は綺麗なシーンですが、蜘蛛の巣にした理由はあるんですか?
絢子さん:
私は物語の女の子、男の子に「がんじがらめ」のイメージをもったんです。そのインスピレーションから蜘蛛の巣を撮影しました。
ーー展示「水に溶ける光」について
■今回の展示「水に溶ける光」では、蝋燭 チエミサラさん、映像 吉田真理子さん、ナカガワヒロユキさんにはNEHANのバスソルトのタイトルにちなんだオリジナル曲も制作頂きました。「青く、甘く」を中心に色々なクリエイターが関わった面白い企画ですよね。企画の実現に向かって大変だった部分はありますか?
茉莉さん:
色々な人が関わるという点で、大変なことはありませんでした。
展示直前に、作成中の映像データがとんでしまった時は、ちょっと大変でしたが…(笑)
絵も写真も音楽も映像も蠟燭も、最初こそイメージは伝えますが、協力してくださる皆さんの感覚を信じているので、最終的にはそれぞれのクリエイターさんにお任せしています。
■「青く、甘く」は発表当時、A4サイズだったと聞いています。その後A4サイズから文庫本サイズへ変更されたそうですが、理由はあるんですか?
茉莉さん:
女性が鞄に入れておけるようなサイズにしたかったので、小さめにしました。
それと、部屋に飾って頂ける、どこのページを開いてもインテリアになればいいな との想いを込めて思い切って文庫本サイズにしました。
■最後に今回の展示「水に溶ける光」どんな方に見てほしいですか?
3人:
お客様の年代によって感じ方が違うと思うので、
男性も女性も、色々な方に来てほしいです。
前回はギャラリーを借りての展示でしたが、今回のNEHAN TOKYOは一般のお店なので、私たちを知らずにお店に来てくれたお客様と作品たちとの新しい出会いがあれば嬉しいです。